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犬の水分不足サインを見逃さない！脱水症状の見分け方と水分補給対策を解説

愛犬がいつもより元気がない、食欲が落ちているといった変化は、水分不足のサインかもしれません。犬は自分の不調を言葉で伝えられないため、水分不足のサインを見逃すと、気づいたときには深刻な脱水症状に陥っている恐れがあります。

本記事では、水分不足のサインや脱水症状の見分け方、脱水を招く原因、さらには応急処置の方法までわかりやすく紹介します。愛犬の小さな変化をすぐ察知できるように、まずは基本のポイントから確認していきましょう。

著者

藤井 麻乃子（ふじい そのこ）

愛犬のための水分補給トッピングスープ 「ones」 スタッフ

ミックス犬2頭と暮らす愛犬家。シュナウザー×マルチーズのパピーと、プードル×イングリッシュスプリンガーの3歳の成犬と日々の暮らしを楽しみながら、実際に試した安心・安全なドッグフードレビューを中心に情報を発信しています。

著者

飛田 邑貴（とびた ゆうき）

愛犬のための水分補給トッピングスープ 「ones」 代表

【経歴】2018年、株式会社gojuonを創業。愛犬のゴールデンレトリバーとの別れをきっかけ
に、愛犬たちの食事と向き合い、2020年に完全オーガニックフレッシュフード「BIO POUR CHIEN」の代表取締役に就任。2022年、愛犬のための水分補給トッピングスープ「ones」をリリース。現在は、オーストラリアンラブラドゥードルと暮らしながら、手作り食とドライフードと併用。

犬の水分不足に見られる脱水症状のサインとは

犬が水分不足になると、体のさまざまな部分に小さな変化があらわれ、それが脱水症状のサインになることがあります。見逃しやすいサインでも、早めに気づくことで重症化を防げるため、普段から犬の様子を丁寧に確認しておきましょう。

元気や食欲がない

犬がぐったりして元気がないときは、水分不足による脱水が関係している可能性があります。特に暑い日や運動のあとに動きが鈍くなるときは、体の水分が足りていないケースも少なくありません。

一方で、単なる疲労で元気がない場合もあるため、普段の行動と比べてどれくらい異変があるかを見極めることが重要です。

うんちが硬くなる・便秘になりやすい

犬が十分に水分を摂れない状態が続くと、うんちの水分が減って硬くなります。硬い便は排泄時に痛みを伴うことがあり、それが原因で排泄をためらってしまうと、便秘になることがあります。

皮膚の弾力がなく乾燥している

犬の皮膚は水分が十分にあることで弾力が保たれていますが、水分不足が進むとハリが弱くなり、軽くつまんだだけでも元に戻るのに時間がかかることがあります。

また、皮膚の乾燥によって毛がパサついて見えることもあるため、普段との違いに気づいたら早めに様子を確認してあげましょう。

涙やけ・目やにが増える

水分不足になると涙の成分が濃くなり、鼻涙管を通りづらくなるため、目の下に涙が残りやすくなります。その結果、涙やけが悪化したり、粘度のある目やにが増えることがあります。

尿の量が少なく色が濃くなる（血尿は別の病気のサイン）

脱水が進むと尿が濃くなり、排尿量も減ってしまいます。濃い尿は結石ができやすい環境をつくるため、水分不足が続くと尿トラブルのリスクが高まります。

なお、血尿は膀胱炎や結石などの病気で起こることが多いため、赤い尿が見られた場合は脱水とは切り離して、早めに動物病院へ相談してください。

痙攣（けいれん）や呼吸の異常は最悪の場合死亡することも

脱水症状が進むと、ふらつきが見られたり呼吸が荒くなるほか、けいれんや意識がもうろうとすることもあり、これらは危険なサインです。

少しでも異変を感じたら、迷わず動物病院へ連れていきましょう。

歯茎を触った時に乾いている・粘り気がある

健康な犬の歯茎は、しっとりとした湿り気があります。触ったときに乾いていたり、ねばつきを強く感じる場合は、体内の水分が不足している可能性があります。

特に唾液が少なく、指が引っかかるような感触がある場合は脱水の初期サインとして注意が必要です。

舌に光沢がなく、色がピンクよりも赤や紫っぽい色になっている

通常、健康な犬の舌は光沢のある淡いピンク色をしています。水分不足になるとツヤが失われ、赤みが強くなったり、紫がかった色になることがあります。

血流や水分循環が悪くなっているサインでもあるため、早めの水分補給が大切です。

肉球がカサカサしていて乾燥気味でハリがない

肉球は脱水症状のサインが出やすい部位です。触ったときに弾力がなく、乾燥してカサついている場合は、水分不足が疑われます。

普段はぷにっとしたハリがあるため、質感の変化を日常的にチェックすることが脱水予防につながります。

犬の脱水症状の見分け方4選

犬が脱水を起こしていないか確認するには、日頃の様子を細かく観察することが欠かせません。ここでは、簡単にチェックできる脱水症状の見分け方を4つ紹介します。

1.皮膚つまみテスト（ツルゴールテスト）を行う

犬の背中や腰の皮膚を5cmほど軽く持ち上げて離し、元に戻るまでの時間を見る「皮膚つまみテスト（ツルゴールテスト）」は、脱水の確認に役立ちます。

通常は2秒以内に戻るとされていますが、それ以上時間がかかる場合は脱水の可能性があるため注意が必要です。

2.水を飲む量が増えているか確認する

脱水がはじまると、いつもより多く水を飲むことがあります。給水ボトルの減りが早いと感じたら、脱水で水分を欲しているサインかもしれません。

普段と比べて飲水量に変化がないか、こまめに観察しましょう。

3.尿の量と色を確認する

脱水が進んだ犬では、体内の水分を節約しようとして尿が濃くなり、排尿量も少なくなることがあります。普段のトイレのタイミングや量を把握しておくと、いつもと違う変化に気づきやすくなります。

ペットシーツの染みが小さい、色が濃い黄色になっているなどのサインがあれば、水分補給の不足が疑われるため、早めに対処しましょう。

4.体重が減っていないか確認する

犬は通常、短期間で急に痩せることはありませんが、脱水が進むと体内の水分が減り、体重が一気に落ちることがあります。

いつもより体重が急に減っていないか、定期的にチェックしましょう。

犬が脱水症状になる原因とは

犬が脱水症状を起こす背景には、日常のちょっとした変化から病気まで、さまざまな要因があります。ここでは、脱水症状になる主な原因について紹介します。

水を飲まない

犬は、自発的に水分を摂取することがなく、喉の渇きも感じにくいため飼い主さんが積極的に摂取するよう普段から飲水量を気をつけなければ水分不足になりがちになります。

水を摂らない状態が続くと体内の水分が不足し、脱水につながるため、注意が必要です。

嘔吐や下痢で体の水分が失われる

嘔吐や下痢が続くと体内の水分が一気に失われるため、短時間で脱水が進行しやすくなります。

熱中症で急速に水分不足になる

気温や湿度が高い環境に長くいると、犬はうまく体温を下げられず、急速に水分を失ってしまいます。そのまま放置すると命に関わる危険があるため、早急な対処が欠かせません。

発熱で水分の消耗が増える

発熱すると代謝が上がるため、普段よりも体内の水分が消耗されやすくなります。

冬の寒さで水分不足になりやすい

寒い時期は喉の渇きを感じにくくなるため、犬は水を摂る量が自然と減りがちです。

さらに暖房の使用で室内が乾燥すると、体の水分が奪われ、冬でも脱水を起こしやすくなります。

腎臓病や糖尿病などの持病がある

腎臓病や糖尿病がある犬は、尿の量が増えることで体の水分が失われやすくなります。

たとえよく水を飲んでいても、追いつかずに水分不足になることがあるため、こうした持病がある場合は、普段より脱水に注意しましょう。

子犬や老犬は水分不足になりやすい

子犬は体の水分量が多く、体温をうまく調節できないため、体調を崩すと脱水が一気に進みやすい傾向があります。

また、老犬は喉の渇きを感じにくく、代謝も落ちるため、水を飲む量が少なくなることがあります。

犬が脱水症状になったときの応急処置

ここでは、犬に脱水の兆候が見られたときに、飼い主がすぐに行える応急処置について紹介します。

少量ずつ水を飲ませる

脱水が疑われるときは、まずは少量ずつ電解質を含む飲み物（ペット用の経口補水液など）を与えて水分を補いましょう。

ただし、ぐったりして自力で飲めない状態の犬に無理に飲ませると誤嚥の危険があるため、絶対に強制給水せず、すぐに動物病院へ連絡して指示を受けてください。

ペット用経口補水液を活用する

脱水が進むと、水分と一緒にミネラルも失われるため、バランスよく補給できるペット用の経口補水液を使うのがもっとも安全です。

人間用のスポーツドリンク（ポカリスエットなど）は成分が犬の体に適さない場合があるため、代用したいときは必ず事前に獣医師へ相談し、指示に従って与えるようにしてください。

動物病院に連れて行く

嘔吐や下痢が続いたり、自力で水を飲めないほどぐったりしている場合は、とても危険な状態です。早めに動物病院へ連れていき、適切な治療を受けましょう。

犬が水を飲まないときにおすすめの水分補給対策

犬が水を飲まないときは、その理由に合わせて飲ませ方を工夫することが大切です。ここでは、状況に応じて無理なく水分を摂らせるための具体的な対策を紹介します。

食事から水分補給できるよう工夫する

ドライフードにぬるま湯や鶏のささみの茹で汁を加えてふやかすと、食事の中で自然に水分を摂れます。歯が弱ってきた老犬でも食べやすくなるため、負担をかけずに水分補給しやすい方法です。

また、ウェットフードには水分が多く含まれているため、飲む量が減っているときでも食事と一緒に水分を摂らせることができます。普段のドライフードに少量混ぜるだけでも、水分補給のサポートとして十分役立ちます。

水分豊富なおやつを取り入れる

きゅうりやトマト、種と皮を取り除いたスイカなど、水分の多い食材をおやつに取り入れるのも効果的な方法です。

ただし、おやつが多すぎると栄養バランスが崩れてしまうため、普段の食事量の10％以内に抑えましょう。

ペット用の飲み物を活用する

ペット用の牛乳やヤギミルク、水分補給を目的としたペット用ドリンクは、風味がついていて飲むきっかけづくりに役立ちます。

水だけでは飲まないときに試しやすい方法ですが、与えすぎるとカロリー過多になることもあるため、少量から様子を見て与えましょう。

飲む時間を工夫する

愛犬が水をあまり飲まない場合は、飲むタイミングや器の形状を工夫してあげることが大切です。器の高さや素材を見直し、首や口に負担がかからない飲みやすい環境を整えましょう。

また、水をそのまま与えるだけでなく、スープをゼリー状にしたり、アイスにして与えることで、水分を摂取しやすくなる犬も多くいます。食事やおやつの時間に合わせて、無理なく水分補給できる工夫をしてあげましょう。

犬の水不足に関するQ&A

犬の水分不足に関して、飼い主さんからよく寄せられる疑問をQ&A形式でまとめました。

Q1.水分補給で犬におすすめの飲み物は？

A.犬におすすめの水分補給は、基本的には「新鮮な水」が一番安全で負担がありません。

水をあまり飲まないときは、スープや無添加のペット用経口補水液を活用すると、香りにつられて飲みやすくなることがあります。

Q2.下痢で水を飲まないときの対処法は？

A.下痢が続いて水を飲まない場合は、脱水が急速に進むことがあるため注意が必要です。ぐったりしていたり、嘔吐や血便が出るなどの異変があるときは、すぐに動物病院へ連れていきましょう。

Q3.子犬が水を飲まないときはどうすればいい？

A.子犬は脱水が進みやすいため、ドライフードに水分を加えたり、子犬用ミルクやだし汁などを混ぜてみるなど、水分の多い食事にして飲むきっかけを作ると安心です。

また、複数の場所に水皿を置く、器の素材を変える、水の温度を少し調整するといった工夫で、飲んでくれることがあります。

Q4.犬にポカリスエットを与えても大丈夫？

A.結論として、日常的な水分補給にポカリスエットを与えることは推奨されません。まずはペット用の経口補水液を使うのが安全で、成分バランスも犬の体に適しています。

どうしても手元に適切なものがなく、緊急的に水分を摂らせたい場面に限り、ポカリスエットなどのスポーツドリンクを獣医師の指示に基づいて薄めて使用することがあります。そのままでは糖分や塩分が多すぎるため、3〜4倍に薄めましょう。

また、腎臓病の犬に与えると、塩分を排出できずに症状が悪化する恐れがあるため、与えないでください。

Q5.水分不足は犬のてんかん発作に影響しますか？

A.水分不足そのものがてんかん発作の直接の原因になるわけではありませんが、脱水によって電解質バランスが乱れると神経が興奮しやすくなり、発作の誘因になる可能性があります。

てんかん発作を持つ犬は、こまめに水を摂れる環境を整え、隠れ脱水を防ぐことが大切です。

Q6.犬の脱水を予防するにはどうすればいい？

A.犬の脱水を防ぐには、毎日の水分補給をしっかり行うことが大切です。いつでも新鮮な水が飲めるようにしておきましょう。

夏の外出時は、気温の高い時間帯を避け、日陰でこまめに休憩しながら水分補給を行ってください。アスファルトの熱は体温上昇に直結するため、散歩は早朝や夕方などの涼しい時間帯がおすすめです。

また、普段から水を飲む習慣づくりも大切です。複数の場所に給水スポットを設置したり、飲みやすい器に変えるなど、環境を整えてあげましょう。

まとめ

犬が水分不足になると、元気がなくなったり、便秘や血尿など、さまざまな体調不良の症状があらわれます。日頃から飲水量や尿の状態、皮膚の張りなどを確認し、小さなサインも見逃さないことが大切です。季節や年齢によって水分不足のリスクは変わるため、状況に合わせた水分補給の工夫も欠かせません。

気になるサインが見られたら、早めに獣医師へ相談して体調の変化にいち早く対応してあげましょう。