
ドッグフードはふやかす方がいい?正しいやり方やメリット・デメリットを徹底解説
「愛犬に与えるドッグフードはふやかすべき?」
「何歳まで柔らかくして与えるの?」
「ドッグフードのふやかし方は?」
このような疑問や悩みを抱えている飼い主さんは少なくありません。本記事では、ドッグフードをふやかすメリットやデメリット、正しいやり方や注意点について詳しく紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

著者
藤井 麻乃子(ふじい そのこ)
愛犬のための水分補給トッピングスープ 「ones」 スタッフ
ミックス犬2頭と暮らす愛犬家。シュナウザー×マルチーズのパピーと、プードル×イングリッシュスプリンガーの3歳の成犬と日々の暮らしを楽しみながら、実際に試した安心・安全なドッグフードレビューを中心に情報を発信しています。

著者
飛田 邑貴(とびた ゆうき)
愛犬のための水分補給トッピングスープ 「ones」 代表
【経歴】2018年、株式会社gojuonを創業。愛犬のゴールデンレトリバーとの別れをきっかけ
に、愛犬たちの食事と向き合い、2020年に完全オーガニックフレッシュフード「BIO POUR CHIEN」の代表取締役に就任。2022年、愛犬のための水分補給トッピングスープ「ones」をリリース。現在は、オーストラリアンラブラドゥードルと暮らしながら、手作り食とドライフードと併用。
ドッグフードはふやかした方がいい?

結論から言うと、ドッグフードをふやかした方がいいかどうかは愛犬の健康状態や年齢によって異なります。硬いドッグフードが食べにくい子犬や老犬はもちろん、成犬が食欲不振の際や口内トラブルなどを抱えている場合、ふやかした方が食べやすくなるためおすすめです。
健康な成犬の場合は、必ずしもふやかす必要はありませんが、水分を含まないドッグフードのみを与えるよりもフードの消化吸収率を考えると、水分を含ませた食事を与える方が良いです。食事と一緒に水分を摂取できるので水分不足の問題を解決することも可能です。
しかし、フードを柔らかくすることで食いつきが悪くなってしまうこともあるため、愛犬の様子をしっかりと観察し、ふやかすべきかどうかをしっかり見極めることが重要です。
ドッグフードをふやかすメリット・デメリット

ドッグフードをふやかすことで得られるメリットはもちろんありますが、同時に気を付けるべきデメリットもあります。それぞれについて下記で詳しくみていきましょう。
メリット
ドッグフードをふやかすことにより、栄養の消化吸収率が高まります。また、水分補給にもなるため水をあまり飲まない子にもおすすめです。
栄養の消化吸収率が高まる
ドッグフードに水分を含ませることで、“食べ物を消化するための体の負担”が大きく減ります。
水分を含ませておけば、フードはすでに柔らかく、体内で膨張する必要もないため、 胃や腸がスムーズに次の消化工程へ進める ようになります。
また、食べたあとの栄養が体の隅々まで行き渡りやすくなり、ビタミンやミネラル、アミノ酸などは水分と一緒に血流へ乗って全身へ運ばれます。水分が十分にあるほど血流はスムーズになり、 栄養を細胞まで届ける速度や効率が高まるため、皮膚・毛艶・内臓・筋肉といった全身の状態が整いやすくなります。
水分補給できる
ドライフードは圧倒的に水分量が少ないため、ふやかして水分を含ませることによって、効率的に水分を摂取することが可能。
水を飲むのが苦手な子にも食事の中で必要な水分量を摂取させることができるので水分不足を解消できます。
食いつきが良くなる
お湯を使ってふやかすことでフードが温められ香りが際立ち、犬の嗅覚を刺激します。特に生肉を好む子にとっては、食感が馴染みやすくなるため、嗅覚だけでなく触覚からも食欲を刺激し食いつきも期待できるようになるでしょう。
満腹感がある
フードが水分を含むことでカサが増し、少量でも満腹感を得やすくなるのも特徴です。
膀胱炎や尿路疾患のリスクを軽減できる
水分摂取が自然に増えるため尿路・便の健康にも役立ちます。 膀胱炎や便の硬化を防ぎ、腎臓・尿路の負担を軽くします。水分量が増えることで尿が薄まり、細菌が留まりにくくなります。その結果、便が柔らかくなって排泄しやすくなるため、便秘や硬便の予防にもなります。
腸内環境に良い影響を与える
可溶性食物繊維やオリゴ糖などが水に溶けやすくなり、善玉菌の栄養になりやすく、便臭の軽減や免疫力向上につながります。
フードをふやかすことで胃腸への負担も減るので腸内環境が整いやすいです。
デメリット
ふやかしたドッグフードは、痛みやすく長時間放置することで菌が繁殖したり腐敗が進んでしまうことがあります。
そのため、食べムラがある子やゆっくり時間をかけて食事をする犬などは注意が必要です。
歯石がつきやすくなる
ふやかしたドッグフードは口の中に残りやすく、歯垢の蓄積を招きやすくなります。毎日しっかり歯磨きする習慣があっても、ふやかしたドッグフードを与える場合は念入りにケアするようにしましょう。食べかすを放置すると歯石になり、歯周病のリスクを高める原因となります。
栄養素が破壊されることがある
水溶性ビタミン(B群・C)は水に溶けやすく、浸し汁を捨てると栄養を損失してしまう可能性があります。
長時間の浸水・加熱はビタミンの破壊につながるので注意しましょう。
浸す時間は 5〜15分程度で汁ごと与えるように心がけましょう。
腐敗の危険性・雑菌が繁殖しやすい
ふやかすと水分を多く含むため、酸化が早まり雑菌が繁殖しやすくなります。また、ふやかしたドッグフードの作り置きや愛犬の食べ残しを長時間放置すると、腐敗して健康を害する可能性があるため危険です。ふやかす場合はすぐに与えるものだけを作り、食べ残しは早めに処分するようにしてください。
火傷の恐れがある
犬は熱すぎる食事は得意ではないと言われているため、熱湯などでふやかした場合、しっかり冷まされていないと火傷する恐れがあります。
また、フードの種類によっては熱湯をかけた際に栄養素やコーティングが破壊されるので注意です。
熱湯は使わずに40〜45℃程度のお湯でふやかすのがおすすめです。
ドッグフードの正しいふやかし方とは?【温度や時間も解説】

栄養の消化吸収率を向上させ、身体への負担を軽減します。しかし、ふやかし方によっては痛みやすく栄養素も破壊されることがあるので、適切な温度や時間を守り与えるようにしましょう。
正しいふやかし方や手順をわかりやすく解説します。
ドッグフードの正しいふやかし方
ドッグフードをふやかす際には、熱湯や冷水は使用しません。40度前後くらいのぬるま湯を用意し、ドッグフードを浸すのが基本の方法です。
- 1食分のドッグフードをお皿に入れる
- 40度前後のぬるま湯を、ドッグフードが完全に浸るまで入れる
- 5分~15分程度放置する
- 指で押して、芯が残っていないか確認する
- しっかりと冷まして、人肌程度になったら愛犬に与える
電子レンジでのふやかし方
ドッグフードを柔らかくする場合、どうしてもぬるま湯でふやけるまで時間がかかってしまいます。そのため、もし時間がないという場合は電子レンジを使用した方法もおすすめです。
しかし、電子レンジを使用すると、マイクロ波の急速加熱で“熱に弱い栄養素”がダメージを受けることがあります。「急激な温度上昇」が、ビタミン類やオメガ脂肪酸(EPA/DHA)などの外側のコーティングが熱でダメージを受け、栄養価が大幅に下がる可能性があるので注意しましょう。
- 耐熱容器に1食分のドッグフードとぬるま湯(もしくは水)を、ひたひたになるまで入れる
- ラップをして20秒~30秒を目安に加熱する
- 温めムラがないようしっかり混ぜる
- 温度を確認し、人肌程度になったら愛犬に与える
どちらの方法でふやかす場合も、必ず与える前は温度を確認し、人肌程度まで冷まして与えます。また、一度ふやかしたものは菌が繁殖しやすくなるので、20分以内には与え、残った分は保存せずに必ず処分しましょう。
ドッグフードはいつまでふやかす?

ドッグフードをふやかして与える期間は、犬の年齢や健康状態などにより異なります。子犬、成犬、老犬それぞれの適切な時期について、下記で詳しくみていきましょう。
子犬の場合
お迎えしてから大体1〜2ヶ月ほど(生後6ヶ月ごろ)を目処に通常のドライフードに移行することが多いです。歯が生え変わる時期を見て切り替える飼い主さんも多いです。
ふやかしたドッグフードから通常のドッグフードへ移行する際には、1週間から10日かけてゆっくり進めてください。急にふやかしたドッグフードからドライフードに切り替えてしまうと、消化不良を引き起こす可能性があります。
子犬の時期は特に食べムラや偏食になりやすい時期なのでできるだけふやかしフードを続けてみるのがおすすめです。また、お水を自発的にあまり飲まない犬は継続して水分を含ませたふやかしたフードをそのまま与えるようにしましょう。
成犬の場合
健康状態に問題がなく、硬いドライフードでもしっかり食べられる成犬の場合はふやかす必要はありません。しかし、ドライフードのみの食事だと水分不足に陥りがちです。食事に水分を含ませて与えることで栄養の消化吸収率を高め、水分摂取量も増やしてくれるため、一石二鳥です。できるだけ水分を含ませた食事にして愛犬の水分摂取を手助けしてあげるようにしましょう。
子犬の時期にふやかしたドッグフードを与えていた場合、生後1年半から2年あたりでは完全に移行が完了していることが望ましいとされていますが、どうしても柔らかくしないと食べられない場合は、無理せずふやかして与えることを優先し、消化を助けてあげてください。
老犬の場合
噛む力が弱くなってしまったり消化機能が衰えてしまった老犬の場合、ふやかすことでしっかり食事が摂れるようになります。硬いドライフードを食べにくそうにしていたり、食べ方が遅くなったりといった状況を見極め、ふやかしたドッグフードへの移行を進めていきましょう。
一般的に7歳前後でシニア期に入ります。シニア期に入ると、これまで問題なく食べていたフードを急に嫌がったり、食べムラが出やすくなります。これは、年齢とともに代謝が落ち、消化吸収力が低下することが大きな原因。体力も少しずつ落ち始めるため、同じ量・同じ固さのドライフードでは負担がかかりやすくなるのです。
そこで大切なのが、できるだけ早めに“ふやかしごはん”へ移行する準備をしておくこと。ドライフードにしっかり水分を含ませることで、以下のようなメリットが得られます。
・消化の負担が軽くなる
・栄養吸収率が高まりやすい
・香りが立つので嗜好性が上がる
・シニア期の食べムラ対策になる
特に高齢期に入ってから急に切り替えると「慣れない」「嫌がる」というケースも多いため、若いうちから“ふやかしごはんに慣れておく”ことが、シニア期の食トラブルを防ぐ大きな鍵になります。
愛犬の未来のためにも、早めの準備がおすすめです。
ドッグフードをふやかす際の注意点

ドッグフードをふやかす際には、気を付けるべき注意点があります。正しい知識を身につけて、愛犬にとって食べやすいご飯を提供してあげられるようにしておきましょう。
熱湯や冷水は使用しない
ドッグフードをふやかす際には40度前後のぬるま湯を使用し、熱湯や冷水は避けてください。熱湯を使用することでドッグフードの栄養素やコーティングが破壊され、「機能性コーティング」がふやかすことで流れ出たりし、消化吸収に影響を与えてしまったりということがあります。
また、冷水を使用すると、お腹が冷えて消化不良や下痢を引き起こす要因になってしまうため危険です。ドッグフードが柔らかくなるまでの時間もかかるため、すぐに与えることができません。そのため、必ず40度前後のぬるま湯を使用するようにしてください。
ふやかしたドッグフードは保存せず、その場で使い切る
ふやかしたドッグフードは水分量が増えるため、通常よりも腐りやすく保存に不向きです。室温に置いた状態では短時間で雑菌が繁殖し、酸化も急速に進むため、食べさせると体調不良の原因になる可能性があります。
冷蔵庫に入れても雑菌の繁殖を完全には抑えられません。安全のためにも、ふやかしたフードは食べる直前に準備し、食べ切れなかった分は必ず処分しましょう。
愛犬の健康状態によっては医師に相談する
愛犬の健康状態によっては、ふやかしたドッグフードが適さない場合もあります。例えば、糖尿病や腎臓病など、水分や食事内容の管理が厳密に必要な病気の場合、加える水分の量や種類、温度など、ふやかし方によっては病状に影響を与える可能性があります。
さらに、現在すでに医師から特定の療法食を処方されている場合、勝手にふやかすことで成分のバランスが崩れたり、ドッグフード本来の目的が損なわれたりする可能性もあるため、自己判断せずに必ず医師に相談し、適切な方法を指導してもらいましょう。
ドッグフードのふやかしに関するよくある質問

ドッグフードのふやかし方や与え方について、特によくある質問を5つピックアップしました。愛犬の食事を適切に管理するためにも、しっかりそれぞれの内容を正しく把握しておきましょう。
- Q.ドッグフードをふやかす意味はありますか?
- Q.ドッグフードは電子レンジでふやかせますか?
- Q.ふやかしたドッグフードを与えると下痢になりますか?
- Q.ドッグフードを早くふやかすにはどうすればいいですか?
- Q.ドッグフードはどのくらい柔らかくするべき?
- Q.老犬は必ずドッグフードをふやかしたほうがいいですか?
Q.ドッグフードをふやかす意味はありますか?
A.あります。フードをふやかすことで食事と一緒に水分を摂取することができ、水分不足の解消につながります。また、フードの消化吸収率も良くなり、身体全体に栄養を運んでくれます。
噛む力が弱い子犬・老犬・口腔トラブルのある犬でも食べやすくなり、ぬるま湯でふやかすことでフードが温まり香りがさらに立ち嗜好性も高まります。
Q.ドッグフードは電子レンジでふやかせますか?
A.可能ですがあまりおすすめしません。マイクロ波の急速加熱で“熱に弱い栄養素”がダメージを受けることがあります。「急激な温度上昇」が、ビタミン類やオメガ脂肪酸(EPA/DHA)などの外側のコーティングが熱でダメージを受け、栄養価が大幅に下がる可能性があります。
また、香りや油分が飛び、嗜好性が落ちることもあります。できるだけぬるま湯(40℃前後)でふやかすのがおすすめです。
Q.ふやかしたドッグフードを与えると下痢になりますか?
A.冷水を使用してドッグフードをふやかした場合、冷たくなりすぎて下痢の原因になる可能性があります。また、ふやかしすぎて水分過多になってしまったり、ミネラルウォーターや牛乳でふやかすと、犬の体に負担がかかる可能性があるため危険です。
さらに、夏場は菌の繁殖スピードが早いので、食べるのがゆっくりな子の場合は下痢になってしまうケースもあるため、菌の繁殖がしにくい量に調整するなどしてあげましょう。
Q.ドッグフードを早くふやかすにはどうすればいいですか?
A.早くふやかすために、電子レンジを使用するのは、栄養素が失われる可能性があるため、おすすめはできません。
お湯を沸かす時間はかかってしまいますが、少し熱めのお湯でフードをふやかし、お水を足してちょうど良い人肌程度まで調整して与えるのが良いでしょう。熱湯でふやかすと栄養素が壊れてしまう可能性があるので注意してください。
Q.ドッグフードはどのくらい柔らかくするべき?
A.柔らかくする目安はそれぞれの愛犬の状態によって異なりますが、子犬の場合、指で軽く押すと崩れる程度が目安です。ぬるま湯に5分~10分ほど漬けると簡単に崩れるほど柔らかくなります。しかし、老犬や噛む力が弱い子、歯周病などで痛みがある子の場合はさらに柔らかくする必要があります。
ぬるま湯に15分以上、または30分程度浸して、軽く触っただけでも簡単につぶせるくらいふやかして与えてあげましょう。ドッグフードには、種類によってはふやけにくいタイプもあるので、フォークなどで潰して芯が残っていないか確認してください。
Q.老犬は必ずドッグフードをふやかしたほうがいいですか?
A.噛む力が弱まったり、消化機能が低下している老犬の場合、ふやかして与えることが推奨されています。食べやすさはもちろん、消化のしやすさや食欲増進効果、水分補給にも繋がるため、なるべくふやかして与えてあげましょう。
老犬の場合は完全に柔らかくなるまでふやかして与えるのが理想です。与える前に全体がしっかり柔らかくなったかどうかを確認し、様子を見ながら適度な柔らかさに調整してあげましょう。
まとめ

ドッグフードをふやかすことで、食べやすさや消化のしやすさ、水分補給や食欲増進などの様々な効果が得られます。しかし、その一方で菌が繁殖しやすくなるため注意しなければいけません。
本記事では、ドッグフードの正しいふやかし方やメリット・デメリット、ふやかす際の注意点などについて詳しく紹介しました。食べやすいドッグフードで美味しく食事ができるよう、お伝えした情報をぜひ参考にしてみてください。